2010年06月03日

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パルス通電場プロセシング総説集

B5版 340ページ 定価21,000円(税込・送料別) 別途送料1,050円
2010年6月20日 第1版第1刷発行
編集 関西パルス通電懇話会編集委員会
編集代表者 巻野勇喜雄

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パルス通電場プロセシング総説集


近年,電磁エネルギー支援による材料加工プロセスが注目される中で,パルス通電を用いた加工プロセスは粉体固化・焼結のみならず,接合あるいは合成プロセスとしても多用されつつある.パルス通電を用いた加工プロセスは,現在のところ放電プラズマ焼結 (SPS) 法が最も普及している.パルス通電加圧焼結 (PECS) 法 ,プラズマ活性化焼結 (PAS) 法も同じカテゴリーに入るプロセスである.これらのプロセスを用いて粉体焼結する場合,通常型材に直接通電して焼結するので,成形体を用意する必要がなく,100℃~3000℃ 近くまでの広範な温度域に適用可能で,数分で固化・焼結体を迅速に作製できる材料加工プロセスである.このように,特異な焼結プロセスを実現し,環境低負荷型プロセスであることから,多種多様の材料創製に適用されつつある.
 パルス通電を用いた加工プロセスは工業的に広範に用いられるようになっているが,固化・焼結プロセスが学術的に十分解明されていない上に,新機能・新構造の発現機構も未解明である.ナノ創製プロセスとしても広く応用するためには,パルス通電場プロセシングの機構を考察すると共に,適用可能性についても検討することが重要である.したがって,パルス通電場プロセシングの基礎的知見のみならず,材料創製,実用材料・デバイスへの応用など工業的内容の集約に多くの労を掛けた.このような観点から,本書ではパルス通電場プロセシングに精通する国内諸賢の学術的および工業的な知識情報の集約を目的として編纂を企画した.

第1章 パルス通電場プロセシングとは?
1 概要
2 ネック形成メカニズムとパルス通電効果
2.1 ネック形成メカニズム
2.2 パルス通電効果とSPSプロセス諸説

第2章 歴史的経緯と将来性
1 歴史的経緯
2 応用分野と将来性
2.1 SPSプロセスの応用分野
2.2 SPSプロセスの普及状況と将来性
2.3 経済性と将来性
2.4 技術課題と将来性

第3章 パルス通電場プロセシングのハードウエア
1 はじめに
2 各種焼結法と装置概要
3 SPS装置の基本構成
3.1 機械本体と全体システム構成
3.2 DCパルス発生電源
3.3 SPSの真空系装置
3.4 その他のSPS周辺機器
4 各種SPS装置のハードウェア
4.1 新材料研究開発用SPS装置
4.2 生産兼研究用SPS装置
4.3 SPS生産システム装置
4.4 特殊SPS装置
5 今後の展開

第4章 パルス通電場プロセシングの機構とプロセス特性評価
第1節 パルス通電場プロセシングのシミュレーション実験
1 はじめに
2 放電現象
2.1 黒鉛型の発光・放電現象
2.2 粉体間での放電現象
3 粉末界面での現象とパルスの効果
4 異種材料間での電流の効果
5 まとめ

第2節 パルス通電場プロセシングにおけるプロセス評価
1 はじめに
2 パルス通電場プロセスの固有パラメータの測定方法
3 パルス通電場プロセスの固有パラメータ測定における問題点
4 パルス通電場プロセスにおける内部電流の測定例--磁気プローブを用いた測定--

第3節 パルス通電場プロセシングの熱的シミュレーション
1 はじめに
2 これまでの研究
3 パルス通電初期の温度上昇
4 電気および温度計算モデル
5 温度および熱伝達係数の測定
5.1 単純形状圧粉体系
5.2 複雑形状圧粉体系
6 電気--熱連成解析
6.1 単純形状圧粉体系
6.2 複雑形状圧粉体系の電気--熱連成解析
7 衝撃--放電接合における熱解析

第4節 パルス通電場プロセシングによる焼結・固化および拡散現象
1 はじめに
2 固体内の拡散
3 セラミックスにおける拡散
4 エレクトロマイグレーション
5 クリープ
6 焼結と拡散
7 パルス通電焼結における焼結機構の理解
7.1 金属:導電性材料
7.2 セラミックス:絶縁性材料
8 おわりに

第5章 パルス通電場プロセシングと材料機能・構造特性
第1節 緻密化挙動・組織および機能特性
1 はじめに
2 ナノ構造アルミナ焼結とパルス通電現象
3 準安定相アナターゼの焼結
4 その他の酸化物の焼結
5 耐酸化性材料の合成
6 磁性材料の合成
7 最近の興味ある構造・機能材料の合成
8 本節のまとめ

第2節 熱物性特性
1 はじめに
2 セラミックスの熱伝導率
3 窒化アルミニウム
4 窒化珪素
5 炭化珪素
6 複合材料
6.1 ダイヤモンド
6.2 黒鉛系炭素材料

第3節 微細構造解析
1 はじめに
2 集束イオンビーム加工法による薄膜作製
3 過共晶Al-Si合金焼結体の微細組織
3.1 SEMによる焼結体の微細組織観察
3.2 TEMによる微細組織観察
4 アルミナ焼結体の微細組織
4.1 TEMによる明視野観察
4.2 STEM-EDSによる粉末粒界の分析
4.3 HRTEMによる微細構造解析

第6章 パルス通電場プロセシングによる材料創製
第1節 セラミックス構造材料(窒化ケイ素,炭化ケイ素など)
1 はじめに
2 窒化ケイ素系材料
3 炭化ケイ素系材料
4 今後の展望

第2節 セラミックス/セラミックスコンポジット
1 はじめに
2 カーボンナノファイバー分散セラミックス/セラミックスコンポジット
2.1 CNF/Al2O3コンポジット
2.2 CNF/β-SiCコンポジット
2.3 CNF/SiAlONコンポジット
2.4 CNF/B4C系
3 まとめ

第3節 アルミニウム合金
1 はじめに
2 焼結過程に及ぼす焼結温度・圧力の影響
3 Al粉末のパルス通電焼結体の界面構造
4 通電焼結に及ぼす周波数の影響
5 パルス通電焼結過程に及ぼす焼結金属の影響
6 Mg添加によるAl焼結体の性能改善
7 おわりに

第4節 金属/金属間化合物積層材料の高機能化
1 金属/金属間化合物積層材料とは
2 パルス通電圧接法 (Pulsed Current Hot Pressing: PCHP) の成形メカニズム
3 パルス通電圧接法 (Pulsed Current Hot Pressing: PCHP) による金属/金属間化合物積層材料の成形
4 PCHP成形した金属/金属間化合物積層材料の組織
5 機械的性質
6 き裂進展抑制効果
7 応用に向けて
8 おわりに

第5節 金属/セラミックスコンポジット
1 はじめに
2 各複合材料の開発動向
2.1 粒子・ウィスカ強化複合材料
2.2 連続繊維強化複合材料
3 金属基複合材料の作製法
3.1 粒子およびウィスカ強化複合材料
3.2 連続繊維強化複合材料
4 複合材料の実用化研究
4.1 粒子・ウィスカ強化複合材料
4.2 連続繊維強化複合材料
5 放電プラズマ焼結法による金属基複合材料の研究
5.1 粒子分散複合材料
5.2 ウィスカ強化複合材料
5.3 連続繊維強化複合材料

第7章 パルス通電場プロセシングによる実用材料・デバイスへの応用
第1節 硬質材料I(超硬合金材料)
1 はじめに
2 パルス通電焼結法による金属バインダーを含む超硬合金の研究開発
3 パルス通電焼結法による金属バインダーを含まない超硬合金 (WC) の研究
3.1 WC-TiC-TaC系バインダレスWCのパルス通電焼結
3.2 焼結温度と離型剤の影響
3.3 焼結時の加圧力,HIP処理の影響
3.4 表面粗さの測定
4 おわりに

第2節 硬質材料II(セラミックス基材料)
1 はじめに
2 TiB2基硬質セラミックス
3 WC基硬質材料

第3節 形状記憶合金
1 はじめに
2 作製方法
3 パルス通電焼結による形状記憶合金の作製条件
4 形状記憶合金の密度および組織
5 形状記憶合金の機械的性質
6 形状記憶合金の熱・力学的性質
7 試作品の例
8 おわりに

第4節 金属ガラスへの応用
1 はじめに
2 過冷却液体域を利用した金属ガラス粉末の固化成形の例
3 軟磁気特性を持つFe基金属ガラスSPS材の開発
4 硬磁気特性を持つFe基金属ガラスSPS材の開発
5 金属ガラス/セラミックスおよび金属粒子混合粉末体のSPS材とその機械的性質
5.1 高強度Ni基金属ガラスSPS材の開発
5.2 高強度Ni基金属ガラス/セラミックスおよび金属粒子分散複合SPS材の開発
5.3 高強度二相Ni基金属ガラス複合SPS材の開発
6 まとめ

第5節 熱電材料
1 はじめに
2 金属間化合物系材料
3 酸化物系材料

第6節 カーボン基材料
1 はじめに
2 カーボン材料単体の放電プラズマ焼結
3 ナノカーボン複合材料
4 ミクロンサイズカーボン複合材料
5 まとめ

第7節 誘電体材料
1 はじめに
2 粒径制御による誘電特性制御
3 還元領域を利用した電気特性制御
4 複数成分の複合による誘電特性制御
5 その他

第8節 磁性材料
1 磁性材料の概要
2 SPS法によるNi-Zn-Cu軟磁性フェライトの作成
2.1 Ni-Zn-Cu軟磁性フェライト
2.2 SPS法によるNi-Zn-Cuフェライトの焼結
3 SPS法による高周波対応型の積層磁性体の作成
3.1 高周波対応型の高飽和磁束密度磁性体の必要性
3.2 SPS法によるNi-Zn-Cuフェライト/45パーマロイ積層体の作製
4 SPS法による極薄のNi-Zn-Cu軟磁性フェライトの作成
4.1 極薄フェライトの必要性
4.2 製造方法
4.3 SPS法で作成した極薄フェライトの特性
5 おわりに

第9節 傾斜機能材料
1 はじめに
2 傾斜機能材料の各種作製方法と応用分野
2.1 傾斜機能材料の作製方法
2.2 傾斜機能材料の応用分野
3 SPS法による傾斜機能材料作製上の留意点
3.1 温度傾斜焼結法
3.2 SPS法の「寸法効果」「形状効果」(size effect, shape effect)
3.3 SPS焼結温度 (SPS sintering temperature) と焼結時間
4 SPS法による各種傾斜機能材料の創製例
4.1 ZrO2(3Y)/SUS410Lステンレス鋼系(8層構造)傾斜機能材料の合成
4.2 Al2O3/Ti/Ti-6Al-4V合金系(10層構造)傾斜機能材料の試作
4.3 φ150mm大形バルク状ZrO2(3Y)/SUS410L系傾斜機能材料の作製
5 実用材料としての傾斜機能材料
5.1 開発の背景
5.2 大形FGM超硬合金と専用製造システムの開発
5.3 超微粒超硬合金焼結プロセスの最適化と機械的特性
5.4 100×100×40--60mmWC/Co大形バルク状傾斜機能性超硬合金(FGM超硬)の開発
5.5 その他のFGM超硬の実用材料例
6 今後の展開

第10節 MEMSおよびマイクロ部品への応用
1 はじめに
2 Ti-Ni-Cu微細構造体の作製方法
2.1 LIGAプロセスによるニッケル金型の製作
2.2 MAによる合金粉末の製作
2.3 SPS焼結
2.4 機械研磨およびエッチング
3 Ti-Ni-Cu微細構造体のMAによる粉末製作とSPS焼結
4 金属間化合物の微細構造体製作
5 まとめ

第11節 電子・情報デバイス部材への応用
1 はじめに
2 SPSによる熱電変換材料Zn4Sb3の作製と熱電変換素子への応用
2.1 熱電変換素子と熱電変換材料
2.2 熱電材料Zn4Sb3
2.3 SPS法による熱電材料Zn4Sb3の作製
2.4 SPS法で作製したZn4Sb3の特性
2.5 まとめ
3 SPSによるYIGフェライトの作製と低背型アイソレータへの応用
3.1 アイソレータの用途と課題
3.2 低背型アイソレータの構造
3.3 SPS法による極薄YIGフェライト焼結体の製造
3.4 まとめ

第12節 放電プラズマ焼結法 (SPS) の生体材料作成への適用
1 金属系生体材料へのSPSの適用
2 金属--セラミックス系複合材料へのSPSの適用
3 ハイドロキシアパタイト焼結へのSPSの適用
4 ハイドロキシアパタイト複合材料へのSPSの適用
5 傾斜機能生体材料へのSPSの適用
6 あとがき

第13節 接合・燃焼合成への応用
1 はじめに
2 接合におよぼす接合条件因子の影響
3 パルス通電電流値の接合部への影響
4 パルス通電波形の接合部への影響
5 パルス通電接合機構
6 通電接合部の改善策
7 通電接合の特徴
8 燃焼合成

第8章 パルス通電場プロセシングのまとめと今後の方向



関西パルス通電懇話会編集委員会メンバー
編集委員(代表) 巻野勇喜雄(大阪大学)
編集委員     水内  潔(大阪市立工業研究所)
編集委員   玉利 信幸(産業総合研究所)
編集委員   井藤 幹夫(大阪大学)

執筆者一覧(50音順,所属は執筆当時)
飴山 恵  立命館大学 理工学部 機械システム工学科 教授
出井 裕  日本大学 理工学部 航空宇宙工学科 教授
井藤幹夫  大阪大学 大学院工学研究科 附属原子分子イオン制御理工学センター 准教授
井上明久  東北大学 総長
上野敏之  島根県産業技術センター 熱制御システム開発プロジェクト 主任研究員
大橋 修  新潟大学 大学院自然科学研究科 材料生産システム専攻 教授
大森 守  東北大学 大学院工学研究科 技術補佐員 (元東北大学金属材料研究所 助教授)
尾崎公洋  産業技術総合研究所 サステナブルマテリアル研究部門 主任研究員
川上雄士  佐賀県工業技術センター 材料環境部 特別研究員
木村久道  東北大学 金属材料研究所 附属金属ガラス総合研究センター 准教授
京極秀樹  近畿大学 工学部 機械工学科 教授
謝 国強  東北大学 金属材料研究所 金属・無機材料接合開発プロジェクト 助教
宝龍  中国科学院 寧波材料技術工程研究所 教授
      (元東北大学金属材料研究所 非平衡物質工学研究部門 助教)
杉山重彰  秋田県産業総合研究センター 工業技術センター 主任研究員
泰松 斉  秋田大学 工学資源学部材料工学科 教授
竹内友成  産業技術総合研究所 ユビキタスエネルギー研究部門 主任研究員
鴇田正雄  株式会社 NJS 取締役
南口 誠 長岡技術科学大学 機械系 准教授
西村聡之  物質・材料研究機構 ナノセラミックスセンター 主幹研究員
廣田 健  同志社大学 理工学部 機能分子・生命化学科 教授
巻野勇喜雄 大阪大学接合科学研究所 加工システム部門 准教授
松木一弘  広島大学 大学院工学研究科 機械システム工学専攻 准教授
三沢達也  佐賀大学 理工学部 電気電子工学科 助教
水内 潔  大阪市立工業研究所 加工技術研究部 材料プロセシング研究室 研究室長
宮野公樹  京都大学 大学院工学研究科 マイクロエンジニアリング専攻 科学技術振興講師
安野拓也  いわき明星大学 科学技術学部 システムデザイン工学科 教授
山本節夫  山口大学 大学院理工学研究科 教授
吉岡尚志  島根県産業技術センター 熱制御システム開発プロジェクト 主任研究員

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